愛知県-長珍酒造-【長珍】

ある年の『阿波山田錦を飲まん会』に奥播磨の下村社長が「東京農大の後輩なんだ」と言って長珍の桑山社長を誘って来場されました。
両手にお酒を下げて入ってくるのを見て「長珍さんが提灯下げてやってきた」と思いました。
お酒は驚くほどおいしかったです。
後日改めてお話を伺うともっとビックリでした。
農大を出てまもなくそれまでの杜氏さんが引退されたそうです。
若き桑山さんは「それじゃ俺が出品酒を造る」といって周囲を驚かせたそうです。
年配の蔵人たちは陰で小馬鹿にしているのが見え見えです。
とりあえず一造り目の春、新酒鑑評会に出品することになりました。
すると大吟醸がいきなり愛知県内で1位、続く中部地方でも1位、そしてまさかの全国での金賞受賞。
このとき誰もがビギナーズラックだと信じて疑いませんでした。
2年目、同じく県内1位、中部地方1位、そして全国金賞受賞とまったく同じ結果になったのです。
杜氏として一生に一度取れれば良しとされる金賞を、大学でたての若者が立て続けに2度も取ったのです。
個人的には金賞を取れても県内、地方ブロックを1位で通過する確率の方が低いと思われるのですが。
奇跡は起こったのです。
もう誰も実力を疑うものはいません。
蔵人も従順になりました。
それでも彼は浮つくことなく、自分の目指す酒は出品酒じゃない、と悟ります。
こうして始まったのが蔵人の誰にも触らせない、すべて自分一人で造る『新聞紙シリーズ』が始まりました。









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